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【最新2023年学会発表】フッ素入り歯磨き粉の正しい使い方 〜フッ素によるむし歯予防効果〜

更新日:6月28日

札幌市東区にある『東区みんなの歯科』です。当院では歯科訪問診療を行っております。

患者様、ご家族、介護事業所の皆様から頂いた質問に関してブログで説明しています。


本日は、『フッ化物配合歯磨剤の正しい使い方』についてお話ししたいと思います。


フッ化物配合歯磨剤の種類と選択のポイント


フッ化物配合歯磨剤はペースト状が一般的ですが、その他にジェル状、泡状や液状があります。従来はフッ化物イオン濃度1,000 ppmが上限でしたが、2017年に1,500 ppmまでのフッ化物配合歯磨剤が厚生労働省により承認されました。濃度が1,500ppmのフッ化物配合歯磨剤の使用にあたって以下の点に注意が必要です:


・6歳未満の子どもには使用を控える

・6歳未満の子どもの手の届かない場所に保管する


高齢者においても、根面う蝕(露出した歯の根にできるむし歯)を含むう蝕予防の観点からフッ化物配合歯磨剤の利用が推奨されています。


フッ素の作用と効果


フッ素には以下のような作用があります:


・歯質の強化: フッ素はエナメル質の結晶構造を強化し、酸に対する耐性を高めます。

・再石灰化の促進: 初期のむし歯部分に取り込まれ、再石灰化を促進します。

・抗菌作用: むし歯の原因菌の活動を抑制し、酸の産生を減少させます。

・抗酵素作用: 酵素の活動を抑制し、むし歯の進行を防ぎます。


年齢別の使用方法


2023年1月に日本口腔衛生学会、日本小児歯科学会、日本歯科保存学会、日本老年歯科医学会による4学会合同のフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法が発表されました。以下に年齢別の使用量を示します:


・歯が生えてから2歳: 米粒程度 (1〜2 mm程度) の1000 ppmF歯磨剤を使用

・3〜5歳: グリーンピース程度 (5 mm程度) の1000 ppmF歯磨剤を使用

・6歳〜成人・高齢者: 歯ブラシ全体 (1.5 cm〜2 cm程度) の1500 ppmF歯磨剤を使用



使用方法


フッ化物配合歯磨剤を使用したブラッシングに関して推奨された手順を以下に載せますが、ポイントを抑えて頂ければ必ずしも推奨方法を行う必要はありません。


ポイント:


・磨き残しがないようにする

・ブラッシング後、口腔内にある程度フッ素が残るようにする


手順:


1. 年齢に応じた量の歯磨剤をつける

2. 歯磨剤を歯面全体に広げる

3. 2〜3分間泡立ちを保つように磨く

4. 歯磨剤を吐き出す

5. 10〜15 mLの水を口に含む

6. 5秒間程度ぶくぶくうがいをする

7. うがいは1回だけ

8. 1〜2時間程度は飲食を控える


特別な注意事項


・要介護者: 嚥下障害を認める場合、唾液や歯磨剤を誤嚥する可能性があるため、ガーゼ等による吸水や吸引器を併用するのもよいです。

・インプラント: 高濃度で酸性のフッ化物歯面塗布にはチタンインプラントを腐食させる可能性がありますが、低濃度で中性のフッ化物配合歯磨剤ではその可能性はないです。ご自身の歯が残っている方に関してはう蝕予防のためにインプラントを使用していてもフッ化物配合歯磨剤の利用が推奨されます。

・乳幼児: 歯磨剤を乳幼児が誤って大量に食べたり飲み込んだりしないよう、使用方法、保管場所に気をつけて下さい。乳幼児向け歯磨剤についてはチューブを1本飲み込んでも問題ない総量のチューブの製品の製造・販売が基本的にされていますが、大量摂取には注意して下さい。


フッ素によるう蝕予防効果


フッ化物配合歯磨剤の普及に伴いう蝕の発生率は減少しました。具体的なデータを以下に示します:



厚生労働省の調査によると、フッ化物配合歯磨剤やフッ素洗口の普及が、むし歯の減少に寄与しています。フッ素は歯の再石灰化を促進し、酸に対する抵抗力を強化するため、むし歯予防に非常に効果的です。


まとめ


フッ化物配合歯磨剤は、適切に使用することでむし歯予防に非常に効果的です。年齢や使用量、使用方法に注意して、毎日の口腔ケアを行いましょう。口腔の健康は全身の健康に大きく影響しますので、適切なケアを心掛けることが重要です。


参考文献

・日本口腔衛生学会, 日本小児歯科学会, 日本歯科保存学会, 日本老年歯科医学会: 4学会合同のフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法,2023.

・介護保険施設における歯科専門職による口腔管理に関する調査研究事業: 口腔衛生管理の評価と実践テキスト



訪問エリアは当院から16 km以内となっております。

・札幌市(中央区・北区・東区・白石区・豊平区・南区・西区・厚別区・手稲区・清田区)

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詳細、お問い合わせは歯科訪問診療専門ホームページをご覧ください。



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