銀歯は3種類ある
- 4月5日
- 読了時間: 6分
※2026年3月更新
※歯科医師監修

『銀歯』
実は全部同じではありません。
保険診療の銀歯、実は3種類あります。
昔からある「金銀パラジウム合金」、「銀合金」、最近から保険診療に加わった「チタン合金」の3種類があります。
※かぶせものやつめもの、ブリッジや土台(コア)について解説します。
各金属の違い
金銀パラジウム合金 | チタン合金 | 銀合金 | |
主な用途 | クラウン、インレー ブリッジ | クラウン(大臼歯) | コア、乳歯 |
耐久性 | 高い | 高い | 劣る |
経年変化 | 酸化する | 変化少ない | すぐに黒くなる |
組成 | 金12%、パラジウム20% 銀、銅など | チタン(99%) | 銀60%以上 |
アレルギー | 可能性あり | かなり安心 | 可能性あり |
金額 (3割負担) | 6420 | 3800 | 1670 |
※クラウン(かぶせもの)、インレー(つめもの)、ブリッジ(クラウンやインレーを繋げて歯のない部分を補う)、コア(土台)
※金額は3割負担、装着のみ
金銀パラジウム合金
長く使われている材料なので安心できます。丈夫で、加工もしやすく、クラウンや複雑なインレー、ブリッジまで幅広く適用できます。歯科医師、歯科技工士ともにその取り扱いが確立されています。
再治療時も取り除きやすく、その意味でも安心できる材料です。
そういったメリットがある一方で、金属アレルギーの可能性や価格の高騰、経年変化などのデメリットもあります。複数の金属を含む合金である以上、金属アレルギーのリスクは他材料と比較すると高くなります。しかし多くの方が当てはまるものではありません。
ニュースなどでも取り上げられている『銀歯』の価格の高騰、主に金銀パラジウム合金が対象です。クラウンなどの点数(つまり値段)は、以前は半年に一度決められていました。しかし今は、材料の金銀パラジウム合金の価格が日々変動するので、3か月に一度変更されています。変更、と表現していますが、上がる一方です。
入れた時はピカピカでも、時間が経つと酸化して少し黒ずむ、表面が少しざらついてくる、などの経年変化が起きます。プラーク(歯垢)がつきやすくなり、境目からのむし歯を誘発します。見た目としても、マイナスイメージに繋がりやすくなります。
チタン合金
2020年頃より保険治療に追加された材料です。現在は適用範囲は大臼歯のみ、2026年6月よりブリッジにも適用が広がる予定です。
耐久性が十分あり、アレルギーの可能性も極めて低い材料です。インプラントなどにも使われており、安心して使用できる材料です。安定した材料であり、経年変化も少ないです。価格も比較的安価に安定しています。
しかし加工が難しく、扱える歯科技工所が限られている、適合性に劣る、調整が難しい、といったデメリットが多くあります。加工が難しいため加工時のコストもかかります。
銀合金
主にコア(土台部分)や乳歯のインレーやクラウンに用います。ルール上は保険診療で永久歯にも用いることができますが、耐久性や経年変化の問題から通常適用しません。
昔から使われている材料のため歯科医師、歯科技工士ともに扱いは確立されています。加工もしやすい材料です。
安価ですが、最近は銀価格の上昇とともに値上がり傾向です。
時間が経つと黒くなり、表面も粗造になります。けっこう真っ黒になります。そうなった表面からは銀の硫化物や銀以外の成分の酸化物が検出されています。歯ぐきに析出し、歯ぐきの変色、『メタルタトゥー』の原因になります。
どれがいいの?
保険診療の適用(ルール)に従って選択しています。その上で、歯の状態から連結が必要な場合や部分入れ歯の支えになる場合など、少し複雑な場合は金銀パラジウム合金を選択しています。噛み合わせや歯周病などにより厚さが出てしまう場合はチタン合金を選択しています。
どちらも最善の材料でない以上、ケースによって使い分ける必要があります。
銀合金は土台や乳歯の治療以外には使用していません。
時間が経つと?
チタン合金はほぼ変色せず、金銀パラジウム合金は酸化してきます。しかし”銀色”に見えるというのはほぼ変わりません。
装着してから一定期間経過後のプラーク(歯垢)の付着しやすさは一説によるとあまり変わらないと言われています。
経年変化による二次的なむし歯のリスクは、ほぼ変わらないのではないでしょうか。
一方でチタン合金は精度がやや劣る、境目などで少し精度に欠ける、と言われています。時間が経った時、その辺りから二次的なむし歯になるリスクが少し高いかもしれません。これはもちろん、日々のセルフケアや歯科医院でのプロフェショナルケアでカバーできます。
よくあるご質問
Q. 金属アレルギーが心配なのですが、どの銀歯がいいですか?
A. アレルギーのリスクが極めて低い「チタン合金」が安心です。ただし、現在は保険診療のルール上、適用できる歯が大臼歯に限られています。状態によっては、保険適用外にはなりますが、金属を一切使用しないセラミックなどの治療(メタルフリー治療)も選択肢となりますので、まずはご相談ください。
Q. 自分の好きな種類の銀歯を選べますか?
A. 基本的には保険診療のルール(適用部位など)や、噛み合わせ、歯の状態(ブリッジや土台など)に合わせて、最適なものを選択しております。アレルギーのご不安などがある場合は、治療前にお気軽にお伝えください。
Q. 前に治療した時より、銀歯の値段が高くなっている気がするのですが…
A. 最もよく使われる「金銀パラジウム合金」は、材料費の日々の変動に合わせて、現在3ヶ月に1度価格が見直されています。近年は金属価格の高騰が続いているため、以前治療された時よりも窓口でのご負担額が上がってしまっているのが現状です。
Q. 銀歯が黒ずんできた気がします。むし歯でしょうか?
A. 経年変化によって金属そのものが酸化して黒ずんでいる場合と、銀歯と歯の境目から二次的なむし歯になっている場合の両方が考えられます。表面がざらついて汚れ(プラーク)が付きやすくなっているサインでもありますので、気になった際は一度検診にいらしてください。
Q. チタン合金は精度がやや劣るとのことですが、すぐに悪くなってしまいますか?
A. すぐに悪くなるわけではありませんが、金銀パラジウム合金に比べると、歯との境目にわずかな隙間ができやすい傾向があります。時間が経った時にそこからむし歯になるリスクを減らすためにも、毎日の丁寧な歯磨き(セルフケア)と、定期的なクリニックでのクリーニング(プロフェッショナルケア)をしっかり行うことが大切です。
【参考文献】
YAMAKIN社ホームページー2026年3月閲覧
歯科保険診療の研究


