CAD/CAM冠・インレーができるまで
- 2月13日
- 読了時間: 7分
更新日:2月25日
※2026年2月更新
※歯科医師監修
札幌市東区の「東区みんなの歯科」です。
本記事では、保険診療で適用できる白い歯、「CAD/CAM(キャドキャム)冠・インレー」の製作過程や材料について一歩踏み込んで解説します。
「白い歯はどうやって作られているのか?」、「何でできているのか?」、「他のかぶせものとどう違うのか?」など、多くの方が持つ疑問にもお答えしていきます。
※CAD/CAM冠・インレーについての概要は別ページをご覧ください。
※保険外(自費)診療については別ページをご覧ください。
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材料について
CAD/CAM冠は、歯科医院でプラスチックを盛り固めて作るわけではありません。 あらかじめ工場で、高度な規格のもと製造された『ハイブリッドレジンブロック』というブロックを削って作ります。
材料の組成: ベースレジン(プラスチック)にセラミックス(無機フィラーとして)を混ぜ合わせたものです。工場で均一な圧力をかけて固めてブロックにしたものを使います。
強さの理由: 工業的に作られたブロックを削り出して作るため、気泡が入りにくく、安定した強度と耐久性を持っています。従来のプラスチック冠などより非常に丈夫です。
色の選択: 歯の色調に合わせて、最適な色のブロックを選んで製作します。しかし、歯の結晶構造、それによる実は複雑な”歯の色”を精密に再現できるものではありません。 従来のプラスチック冠より着色しにくいものの、経年劣化による着色や表面性状の変化はあります。
CAD/CAM冠・インレーができるまで

CAD/CAM冠ができるまで、そして装着するまでには、大きく分けて5つのステップがあります。
1.歯の形成
主に削って歯の形を整えます。むし歯部分などはもちろん削って取り除きますが、それだけでなく、かぶせものやつめものを作って装着するための”形”にします。この”形”、何を装着するのかによって変わってきます。これは後で出てくる製作ステップや材料の性質と密接に関係しています。
『”形成”の話(極々一部)』
かぶせものとつめもので違うのはもちろん、材料が金属なのかレジン系(プラスチック)なのか、セラミックやジルコニアなのかでも違ってきます。材料だけでなく、鋳造やプレスなのかCAD CAMなのかといった製作方法の違いでも必要な歯の”形”は違ってきます。
下の図は、CAD/CAM冠を装着するための一般的な臼歯(奥歯)の形です。CAD/CAM冠に必要な強度を持たせるためにある程度以上厚さが必要です。具体的には縁部分(歯ぐきに近いところ)や側面で1.0mm以上、力のかかる咬合面(かむ部分)では1.5~2.0mm以上とされています。つまり、元の歯と同じ形にかぶせものを作る場合、その分歯を削る必要があります。神経のある歯の場合、削った結果痛みが出てしまう場合もあります。また、噛み合わせや歯並びの状態から、そもそもその量を削ると神経まで達してしまう場合もあります。保険治療の適用では、ほとんどの歯にCAD/CAM冠を入れることができます。しかし実際には、噛み合わせや歯並び、歯の形態から適用することができないケースが存在します。

2.スキャン(型取り)
形成した歯の形や噛み合わせを精密に記録します。口腔内スキャナーという機器を使い、カメラで読み込み、データとして記録します。従来の型取り(材料を口腔内に入れて物理的に型を記録する)を行う場合や両方を併用する場合もあります。
スキャンのメリットは、その後の工程も含めると多くあります。通常の型取りをした場合、石膏模型を作ります。それを歯科技工所に送り、修復物(かぶせものやつめもの)を作ります。当然輸送に時間がかかります。一方スキャナーを用いた場合はデータをすぐに送信します。そのため模型製作や輸送によるエラーやトラブルのリスクがありません。輸送時間も短縮できます。機種にもよりますが、同時に写真を撮ることで色調の再現にも繋がります。
『患者さんの感想』
「口の中にあの材料(ピンクや青のドロドロしたもの)を入れずに済むから楽。」
「削った歯の状態を見れて面白い」
こういったメリットに関するご感想もいただいておりますが、
「カメラが奥まで入るのがつらい」
といったご感想もいただいております。
”状態の記録”である以上、奥まで記録するつらさはある程度避けられないのかもしれません。
形成した状態をすぐに見せられるので、より状態を共有でき、治療に関してもお話ししやすくなっています。
3.コンピュータ上で設計(CAD)
Computer-Aided Design
スキャナーで記録したデータ上で、歯の修復物を設計します。隣の歯との隙間や、噛み合わせのバランスをシミュレーションし、理想的な形を作り上げます。データベースやAIを活用しますが、歯科技工士によって設計、デザインされています。
『歯科技工士さんの存在』
CAD/CAMは、人手不足、離職率も高い歯科技工士のお仕事の環境改善、変化に繋がっています。
CAD/CAMシステムで作られるものであっても、製作に携わっている歯科技工士の方がいるということをご記憶頂ければ幸いです。
4.機械で削り出し(CAM)、仕上げ
Computer-Aided Manufacturing
設計データが「ミリングマシン」という削り出し機に送られると、精密なドリルによってブロックが削られていきます。削り出してデザインした形になるまで10分ほどです。(機種による)
削り出された修復物を歯科技工士が調整、研磨し、完成すると歯科医院に運ばれてきます。
『形成の話(続)』
実はこのミリング工程と歯の形成が大きく関係しています。ドリルとブロックはミリングマシンに設置されているため、決まった方向から削ります。そのため作る修復物の角度や形に制限があります。例えばドリルの先端より細い角を作ることはできません。その制限をクリアできるように歯を”形成”する必要があります。
5.装着
完成した修復物を歯に装着します。歯自体への適合(しっかり入る)、隣の歯や噛み合う歯との接触、周りの歯ぐきとの調和、などを確認します。必要に応じて少し調整します。
装着には専用の接着剤を使用しますが、同時に修復物の内側と歯の表面に専用の処理剤を使用します。処理剤を塗り、乾かした後に修復物に接着剤を付け、歯に装着します。装着後ずれないようしっかり抑え、余分な接着剤を取り除きます。接着剤は光で固まる性質のため光を当てながら行います。
最後に噛み合わせの確認、調整を行います。
まとめ
保険治療で入れられる白いかぶせもの、「何でできているんだろう?」、「何が従来のものと違うんだろう?」と疑問に思われている方は多いかと思います。この記事がみなさんのご理解の一助になれば幸いです。
「保険で白い歯にできるかな?」と気になった方は、お気軽にご相談ください。
よくあるご質問
Q. 「歯を削る量」が他のかぶせものより多いと聞いたのですが本当ですか?
A. CAD/CAM冠に使用するハイブリッドレジンブロックは、強度を保つために一定の厚みを持たせるこ必要があります。そのため、薄くても丈夫な金属(銀歯)に比べると、少し多めに削る必要がある場合もあります。規格だけでなく、お一人お一人の歯やお口の状態(神経の有無や噛み合わせなど)を考慮し、判断、形成しております。
Q. 従来の「型取り(ピンクやブルーのどろっとした材料)」は全くしないのですか?
A. 当院では口腔内スキャナーによるデジタルの型取りを導入しており、専用のカメラで撮影するだけで完了します。歯の部位や噛み合わせの状態によっては、より精密な記録のために従来の型取りを併用したり、材料を使い分けたりする場合もございます。
Q. 口腔内スキャナーの撮影にはどのくらいの時間がかかりますか?
A. お口の状態にもよりますが、数分程度で終わることがほとんどです。従来の型取りのように材料が固まるまで数分間待つ必要がないため、嘔吐反射(おえっとなる)がある方でも比較的楽に受けていただけます。
Q. コンピュータで作ると、手作りよりも精度が落ちることはありませんか?
A. ご安心ください。コンピュータ(CAD)上で隣の歯との隙間や噛み合わせをシミュレーションし、高精度な機械(CAM)でブロックを削り出します。その後最終的な調整や仕上げは、歯科技工士が一つひとつ丁寧に行います。進歩したデジタル技術と歯科技工士の職人技によって作られた修復物が完成します。
Q. CAD/CAM冠はどれくらいの期間で完成しますか?
A. データの送受信を即時に行うため、歯科技工所に模型を配達する従来の方法に比べて、完成までの期間を1日以上短縮できます。通常、数日〜10日程度で完成します。
【参考文献】
歯科用CAD/CAMハンドブックⅣー株式会社YAMAKIN
CAD/CAMシステムーGC社ホームページ(2026年1月閲覧)
CERECーDentsply Sirona社ホームページ(2026年2月閲覧)


